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ご本人とお会いして
人が人に出会って変われる瞬間はあると思いますが、そんな機会は少ないでしょうね*そんな事を感じてしまうほど素晴らしい人間だった方が倉本聰さんでした。 物静かで口数が少なく、控え目で重厚で博愛と礼節を感じさせて頂ける人間だったです。本にサインを頂く時に、私が、「お願いします。」と真剣に申し上げましたら、何故か、お顔を上げられ一瞬ピクッとされました。そして、丁寧な文字でゆっくりサインをした後、私の様な者にも、「ありがとうございました。」と、おっしゃって下さいました。私も恐縮しながら自然と頭が下がりました。後から考えたのですが、普段からミーハーは嫌いなのに、何故、サインを貰うのに並んだのだろう?と不思議でした。そうさせてしまうモノが倉本さんにはあるのでしょうね*お近くに行きたい気持ちになっていました。本当に不思議な感じがしました。握手をさせて頂いたモノから伝わりましたのは、何か神様に近いものかなあ?イヤ、人間の境地と申しましょうか?人間が練れている*気高さ?いや、年輪の深さですかね?とにかく、私の価値観では及びも付かない方なのでしょう*
演劇の素晴らしさ
ライブに勝るモノはないとよく言われます。本当にそうですね!歌もそうですが、演劇も同じで映画などは足元にも及ばなかったです。神秘的な空間の中に観客席も一体となって物語を作り上げていました。私は、魂まで引き込まれて自分の存在を忘れる?イヤ存在自体無い様でした。無でした*「お客様にお願いです。演劇はお客様と一緒に作りあげられるものです。携帯電話は、マナーモードではなく、電源をお切り頂く様に宜しくお願い致します。」と、開演前に3度も放送が流れていました。この辺が今の日本を表していませんか?
「歸國」(きこく)
今回の戯曲は、「歸國」でした。以前から私が観たかったモノです!太平洋戦争で戦死した兵隊さんが、8月15日に日本に帰って来て、今の日本を見て失望すると言うお話です。去年の終戦記念日にテレビで流れたそうですが見逃しました*でも、生で観られて本当に嬉しかった?良かったです。今の時代の考え方や流行が理解出来ない!したくない私は、兵隊さんの気持ちが痛いほど分かりました。ディスコ?クラブ?キャバクラ?カードでショッピング?暗証番号?暗証番号の暗証番号?パスワード?「ここはスパイの国か?」笑!ローンのローン?カネが無くても借りられる?今なら0円?携帯電話を見ながら喋る?テレホンショッピング?冷凍食品?夕食がカップラーメン?食材の宅配?幼稚園の自宅前までの送迎?照れてしまう過剰なサービス?過剰な包装?過剰な注意書き?サッカーゴールの保護マット?給水タイム?管理責任?プールで潜るな?飛び込み禁止?省エネと節電?失業手当の悪用?生活保護を受けてパチンコ?ゴールド免許?低俗なお笑い?施す側がお礼を述べている?サービスを受けて偉そうな人?モーニングコールさせる生徒の親?給食費の未払い?悲劇の主人公を演ずる被害者?忘れ物を届けさせる親子?陰湿な仕返しや、屁理屈だらけの口ゲンカ?ルールに縛られるルール?同調者を求める人間?病気は全て悪?調剤薬局と病院?喫煙ボックス?訪問販売?電話勧誘?数は力?不安の解消をしようと不安を煽るNPO?自分たちでニュースを作り、大袈裟に騒ぎ飯を食うマスコミ? 病人が死んでいるのに死なせてくれない国?人工呼吸器?世界一惨い国の日本*恵まれ過ぎていると不平不満ばかりになります。私がそうなのでしょうか?笑
メールは善悪?
私が何気なく疑問を抱いていること全てが、この戯曲の中に詰まっていました。少しお話します。トイレに行く兵隊さんが居ました。そして、自動的に開くトイレの蓋に身を屈めて格闘する兵隊さんに観客は大笑いしていました!また、ギャル二人が隣合わせで居るのに態々携帯のメールで話している姿を見て、「おい!メールってなんだ?」 「メールって言うのは手紙です。紙を使わないで手紙を送れる見たいなモノですよ!」「紙は使わないのか?」 「紙はもう要らないんです!」「じゃあ、ケツは何で拭いてんだ?」 大爆笑* また、「近くに居るのに何で喋らずにメールしてんだ?」「喋るのが面倒くさいんじゃあないですかね~?」「今は人と喋るのが面倒くさいのか?」「そう見たいです。直接話せば相手の顔色や態度とか、そう知りたくもない本音が観えてしまうでしょう?だから便利な機械を使うのだと思います。」「・・・」無言* 二人のギャルが去って行く時に、携帯を閉じながら、「キモ」、「ウザ!」と言いましたら、「オイ、今の何語だ?」との質問に、観客は更にウケて大爆笑してました!私も少し笑いましたが、直ぐ言い知れぬ想いに駆られました*
靖国問題
兵隊さんが靖国神社に来てビックリしました!何故なら、こんな夜中に報道の記者たちが物々しく動き回っていたからです。そして、こう聞きました。「何故、政府の閣僚が夜中にこそこそ裏口から入って来て参拝してんだ?」「それは、公式に参拝することが認められていないからです。」「国に命じられ戦って死んだ、オレ達を弔うことが禁じられているのか?」「いや、自分達だけが祭られているのなら問題はないのですが、戦犯も合祀されているから公式参拝はマズイらしいんです*」「それなら、どうして戦犯たちを別に移さなかったんだ!戦後65年も経っているんだぞ?」「・・・」無言*
迎え火の老人
戦友の為に迎え火をしようとする百歳を超えたご老人が居ました。「迎え火」何て、最近は余り観なくなりましたね?私が子供の頃は、近所でも偶に迎え火している光景を見た記憶があります。 祖先を大切に思う気持ちが段々減って来たのでしょうか?今の日本では、老人ホームに入れられた人が死んでも、財産がなければ引き取りにも来ないと聞きました*罰は当たらないのでしょうか?良心は痛まないのでしょうか?自分も老いればそうなるのに*このご老人が戦友の為に迎え火しようとしていましたら、誰かが呼びに来ました?私は、お孫さんかなあ?と思いましたが、残念なことに介護士の方でした!そうココは老人ホームだったのです。 「おじいちゃん!何してるの?夜中にこんな所で?」「お盆の迎え火*」「ホームの中は火気厳禁ですよ!」 ここで観客席には笑いが起こりましたが、私は全く笑えませんでした。「ああ~迎え火*」「何バカ言ってんの!さあ!部屋に戻るの!」 「迎え火~昔の部下たちが~*」 私は言葉では言い表せない気持ちになりました*
エリートの懺悔
この世に戻って来た兵隊さんの一人が、妹の息子を殺してしまいました。その訳は、妹の死をまるで他人事の様に報告を聞いていたからです。また、その後の事を他人任せにして、更に、自分の親が死んだって言うのに、電話で直接起こそうともせず、嫁に気を遣って起こすまいと、メールで事態を知らせていました。 「お袋が死んだ。朝になったら息子たちに知らせろ。子供たちは、受験があるから葬儀に出なくてよろしい。これで漸く肩の荷が下りた*」その文面を見て兵隊さんは堪忍袋の緒が切れたのでした!兵隊さんはこう言いました。「妹は苦しい日本の戦後を命を張って息子たちを育てました。 妹の献身でこいつは生きたから、嫁がおり、嫁がおったからその子が今おります。それが家族なのでしょう! 母親が死を迎えた床に、自分も直ぐには駆け付けず、家族達にも駆けつけんで良いと言う*それが現在の日本ですか?肩の荷が下りた???人間て酷い生き物です。
殴られた事がない!気の毒にな*
誰からも殴られた事のない大人が増えました。だからでしょうか?言葉では謙虚そうなことを言いますが、いざ自分の損得だったり、また逆に関心がないことに対しては謙虚さを忘れる人間が多い様に感じます。謙虚の意味や想いが解らないのかも知れません?自分の事をしながら、他人の話を聞く態度や、携帯やメールをしながら何かの作業をして、それによって他人に迷惑が及ぼうが、待たせ様がヘッチャラです! 自分がカワイイのか、自分が大事なのか?他人に無関心なのかも知れません。甥を刺した兵隊さんが、倒れている甥に語り掛けました。「なあ君、君の知っているお袋の肌は、シワが刻み込まれて醜いのかも知れない?だがシワは君を生かす為に刻まれたシワなんだ*そして、オレ達も戦ったんだ!軍隊の中で叩かれ苛められ、懸命に耐えて戦地に送られ、輸送船の中で爆撃を受け、敵の顔も見れずに海に投げ出され、うねる海上で板切れにつかまって水も食い物もなく波に翻弄され、戦友がどんどん溺れて行く中で、たった一人で海の上に居た*うねりの中で、たった一人でいる恐怖と絶望が君に判るか?どこを見廻しても大声で叫んでも波のうねりだ。その波が山の様に視界を遮って何も見えない。誰も答えない。 だから、もうオレは叫ぶことも止めた。それでもオレは六日間生きた。その六日間オレが波の中で、何を考えて頑張ったか判るか?日本の幸せ* あの海で願った日本の平和の姿と言うのは、こう言う残酷なモノだったのかい*あんまりじゃあないか*あんまりじゃあないか君*」と・・・
死後の世界 「恥を知れ」
その後、死後の世界に遣って来た甥が言いました。「叔父さんって呼んで良いですか?僕は何処で間違ってしまったのでしょう?最初はお袋を大切にしていたんです。僕は何処で間違ってしまったんでしょう?叔父さん教えて下さい?」叔父さんはこう答えました。「お前は人に殴られたことがあるか?」「いいえ」「一度もか?」「ハイ」「気の毒にな*」「はっ?」そして、甥を立たせて殴りました。「妹の代わりだ!」・・・・「痛かったか?」「ハイ」「そうだろう*オレも相当痛かった*今の日本にゃあ自分の痛いのが怖くて人を殴る奴がいなくなったと見えるな!悪かったなあ*」「いえ、叔父さん、ボクは嬉しかったです。久しぶりに急に目が醒めた気がします。」「目が醒めたんなら一つだけ覚えておけ!恥を知れ*人間としての恥を知れ!」「お袋の所へ直ぐ行ってキッチリ謝って来い!」 学校の先生や親が子供を殴れなくなって、どれだけの年月が経ったのでしょう?殴れば=全て暴力?暴力=悪?そう言う観方しか出来ない。そんな思考に貧しく幼稚な先進国日本が象徴されてはいないでしょうか?暴力は法律的には傷害だと一括りです。本当に情けない* そして、全部お金で解決する?人間はそんなモノではないでしょう? 悪いことをして、注意されても直らない!そして、また遣った!何回もウソを付いた?または、人間道徳的な道から外れたことをしてしまった*そんな時、親や先生たちは、「恥を知れ」と、殴っていました。全部善意ではないのかも知れませんが、それを全て同じと捉えてしまう考え方が幼稚で貧しいと私は思います。今は暴力は絶対イカンと言いながら、躾けと称して若い親が子供を虐待し殺します。この真逆の現象は、法律に頼り切る考え方と、悪はあってはならないモノ!存在してはならないモノとし、虚実を築き上げている今の日本の姿だと私は感じます*暴力を推奨するつもりは毛頭ありませんが、その子供を本当に想って叩くことが悪でしょうか?私は本気本能の愛情表現だと思うのです。 野生動物は、子供がイケナイことをしたら、噛んで痛い思いをさせて教えています。今の人間はどうでしょう?この前、実家のイチジクの木の網に小鳥が引っ掛かっていました。 それを解いてあげようとしましたら、親鳥が必死に子供を守ろうと、叫びながら命懸けで向かって来ました* 人間の親は叱って躾けられなかったり、または虐待をして無残な殺し方をするというのに!鳥の方が人間よりも上なんだなあ!立派だなあ*なんて感じました。本当に命懸けで生きています!そして、文句や不平不満なんて聞いたことがない!笑 笑えません。人間が笑われる!
便利の意味
戯曲の中で、便利の意味は人間が、「さぼる」ことだと言っていました。私は、その解り易い言葉を深く考えました。「こうなったら楽なのになあ?」と、考えることは誰しも思ってしまうことだと思います。しかし、その考え方に何処かで謙虚になり歯止めを利かせないと、それらが皆不満に変わるのではないでしょうか?こんな事くらい自分でしないと罰が当たる?何て・・・誰かに遣らせる!機械に遣らせる!そんな繰り返しは思い遣る人間の心を壊してゆく気がします。続けて兵隊さんはこう述べています。「さぼるとは、出来るだけ体力を使わんと言うことだ!今の日本を見て、人々が自ら汗を掻くこと、体を使うことを嫌う様になったことにオレは仰天した!今の日本人は豊かさと便利を勘違いしている!」と・・・
母の教え
私の母の兄が亡くなり、一周忌がありました。母は寂しそうな顔をしていました。それは兄嫁から、「一周忌は、大袈裟にしたくないから料理は作らない?近所の店で昼食は済ませたい*」と言われたからです。兄が生前好きだった食べ物も供えてあげない*また来て下さった方に精一杯の御もてなしもしない。きっと気持ちがないのでしょう!人間はそこに想いがなければ、手間を省き怠けたくなるものです。 いや、さぼりたくなるのでしょう*手紙も、宅急便の荷物も、丁寧に書いたり、詰めてあげられるのは、そこに届けたいと言う想いがあるからです。ヤッツケ仕事で思い遣りは伝わりません。*面倒くさいなあ?そんなモノは直ぐに伝わります。便利だと言って体が楽をすれば気持ちがないのと同じだと思います。その兄の息子たちは、お通夜に少し顔を出しただけで帰りました。お葬式も長男が最後まで居なかった?入院が長かったせいでしょうか?しかし、私には考えられないことでした。その家には、その家の遣り方があるのでしょう!違うのは分かりますが、しかし、親が死んだのに、まるで他人事の様に観えました。そんなことを、この戯曲を観て思い出していました。叔父さんは、息子を人様の為に役立つ医者にしたくて、とても教育熱心でした。そして、望み通り医者にしました。今は開業して順風満帆なのでしょう?大きな高級外車に乗り、良い家にも住んでいます。性格も温和で優しいです。しかし、情の部分ではどうでしょうか?親が居て、自分がいる。どんな理由があっても、最後はキチンと見送って欲しかったです。
貧倖
兵隊さんが言いました。「貧倖と言う言葉を知っているか?貧しくて困る貧困は避けたいが、貧しくとも倖せな生き方は出来る*そう言う意味だ!元々オレ達の暮らしはそうだったんだ!」 政府の事業仕分けで女性の国会議員が批判されていましたね!「一位じゃなきゃダメなんでしょうか?二位じゃあダメですか?」と言われたことに対してです。学力の問題もそうですが、順位や序列、数字ばかりに目を奪われた愚かな日本の姿を曝していませんか?問題は、国民が何を幸せと感じて、どう幸せになろうとするのか?だと思います。日本のマスコミと国民の程度が低過ぎませんか?エコエコと騒ぐのなら、車を止めて皆馬に乗りなさい!笑 中途半端なんです。世界との比較が大好きな日本とマスコミです。いつも自分たちがどう思われているのか気にし過ぎています。 不安で仕方がないのでしょう?「日本をどう思いますか?」なんて直ぐ聞きたがります。「オレの事を好きか?嫌いか?何て本当に恥ずかしいことです。余程、自分や国に自信がないのでしょうね*そして、直ぐ外国の悪口を言う? 苛める対象を探して攻撃していれば安心するのです。子供のイジメと同じ*恥を知りたいものです。
人間は二度死ぬ
今一人の日本兵が甥を殺したことでテレビや新聞は大騒ぎしている!平和なもんだと思ったよ*平和!良いことだ。たった一人の死にそれだけ騒げる?そう言う世の中をオレ達は望んでいたんだ。だがこれが一人ではなく千人だったら!一万人だったら、そしてそれが何十年前の出来事であったら君らはどの位騒ぐんだろうか?今君は、メモしているが、一人と一万、一万と十万、その差の量が文字だけで実感出来るのか?君はご子孫の顔をよく見に行くかね?」「行きません。行ったって誰もこっちのこと何て関心も持っちゃあいませんからね」「こう言う言葉があります。人は二度死にます。一度目は肉体が死んだ時。二度目は、完全に忘れ去られた時です。」
涙のフィナーレ
兵隊さんが妹の大好きだったバナナを手に持って、「バナナだ!大好きなバナナを持って来てやったぞ~出て来て兄ちゃんに面を見せろ*」このセリフを聞いて、私が何を感じたのか、お分かり頂ける方がおられますでしょうか?熱いモノが込み上げて来ました。最後に兵隊さんたちが、白い暗闇からスローモーションで現れ、ゆっくり凛々しく敬礼をして下さいました。私は、恥ずかしい想いと、申し訳ない気持ちとが交差して拍手をしていました。腐り掛けた黒ずんだバナナでした。
人が人に出会って変われる瞬間はあると思いますが、そんな機会は少ないでしょうね*そんな事を感じてしまうほど素晴らしい人間だった方が倉本聰さんでした。 物静かで口数が少なく、控え目で重厚で博愛と礼節を感じさせて頂ける人間だったです。本にサインを頂く時に、私が、「お願いします。」と真剣に申し上げましたら、何故か、お顔を上げられ一瞬ピクッとされました。そして、丁寧な文字でゆっくりサインをした後、私の様な者にも、「ありがとうございました。」と、おっしゃって下さいました。私も恐縮しながら自然と頭が下がりました。後から考えたのですが、普段からミーハーは嫌いなのに、何故、サインを貰うのに並んだのだろう?と不思議でした。そうさせてしまうモノが倉本さんにはあるのでしょうね*お近くに行きたい気持ちになっていました。本当に不思議な感じがしました。握手をさせて頂いたモノから伝わりましたのは、何か神様に近いものかなあ?イヤ、人間の境地と申しましょうか?人間が練れている*気高さ?いや、年輪の深さですかね?とにかく、私の価値観では及びも付かない方なのでしょう*
演劇の素晴らしさ
ライブに勝るモノはないとよく言われます。本当にそうですね!歌もそうですが、演劇も同じで映画などは足元にも及ばなかったです。神秘的な空間の中に観客席も一体となって物語を作り上げていました。私は、魂まで引き込まれて自分の存在を忘れる?イヤ存在自体無い様でした。無でした*「お客様にお願いです。演劇はお客様と一緒に作りあげられるものです。携帯電話は、マナーモードではなく、電源をお切り頂く様に宜しくお願い致します。」と、開演前に3度も放送が流れていました。この辺が今の日本を表していませんか?
「歸國」(きこく)
今回の戯曲は、「歸國」でした。以前から私が観たかったモノです!太平洋戦争で戦死した兵隊さんが、8月15日に日本に帰って来て、今の日本を見て失望すると言うお話です。去年の終戦記念日にテレビで流れたそうですが見逃しました*でも、生で観られて本当に嬉しかった?良かったです。今の時代の考え方や流行が理解出来ない!したくない私は、兵隊さんの気持ちが痛いほど分かりました。ディスコ?クラブ?キャバクラ?カードでショッピング?暗証番号?暗証番号の暗証番号?パスワード?「ここはスパイの国か?」笑!ローンのローン?カネが無くても借りられる?今なら0円?携帯電話を見ながら喋る?テレホンショッピング?冷凍食品?夕食がカップラーメン?食材の宅配?幼稚園の自宅前までの送迎?照れてしまう過剰なサービス?過剰な包装?過剰な注意書き?サッカーゴールの保護マット?給水タイム?管理責任?プールで潜るな?飛び込み禁止?省エネと節電?失業手当の悪用?生活保護を受けてパチンコ?ゴールド免許?低俗なお笑い?施す側がお礼を述べている?サービスを受けて偉そうな人?モーニングコールさせる生徒の親?給食費の未払い?悲劇の主人公を演ずる被害者?忘れ物を届けさせる親子?陰湿な仕返しや、屁理屈だらけの口ゲンカ?ルールに縛られるルール?同調者を求める人間?病気は全て悪?調剤薬局と病院?喫煙ボックス?訪問販売?電話勧誘?数は力?不安の解消をしようと不安を煽るNPO?自分たちでニュースを作り、大袈裟に騒ぎ飯を食うマスコミ? 病人が死んでいるのに死なせてくれない国?人工呼吸器?世界一惨い国の日本*恵まれ過ぎていると不平不満ばかりになります。私がそうなのでしょうか?笑
メールは善悪?
私が何気なく疑問を抱いていること全てが、この戯曲の中に詰まっていました。少しお話します。トイレに行く兵隊さんが居ました。そして、自動的に開くトイレの蓋に身を屈めて格闘する兵隊さんに観客は大笑いしていました!また、ギャル二人が隣合わせで居るのに態々携帯のメールで話している姿を見て、「おい!メールってなんだ?」 「メールって言うのは手紙です。紙を使わないで手紙を送れる見たいなモノですよ!」「紙は使わないのか?」 「紙はもう要らないんです!」「じゃあ、ケツは何で拭いてんだ?」 大爆笑* また、「近くに居るのに何で喋らずにメールしてんだ?」「喋るのが面倒くさいんじゃあないですかね~?」「今は人と喋るのが面倒くさいのか?」「そう見たいです。直接話せば相手の顔色や態度とか、そう知りたくもない本音が観えてしまうでしょう?だから便利な機械を使うのだと思います。」「・・・」無言* 二人のギャルが去って行く時に、携帯を閉じながら、「キモ」、「ウザ!」と言いましたら、「オイ、今の何語だ?」との質問に、観客は更にウケて大爆笑してました!私も少し笑いましたが、直ぐ言い知れぬ想いに駆られました*
靖国問題
兵隊さんが靖国神社に来てビックリしました!何故なら、こんな夜中に報道の記者たちが物々しく動き回っていたからです。そして、こう聞きました。「何故、政府の閣僚が夜中にこそこそ裏口から入って来て参拝してんだ?」「それは、公式に参拝することが認められていないからです。」「国に命じられ戦って死んだ、オレ達を弔うことが禁じられているのか?」「いや、自分達だけが祭られているのなら問題はないのですが、戦犯も合祀されているから公式参拝はマズイらしいんです*」「それなら、どうして戦犯たちを別に移さなかったんだ!戦後65年も経っているんだぞ?」「・・・」無言*
迎え火の老人
戦友の為に迎え火をしようとする百歳を超えたご老人が居ました。「迎え火」何て、最近は余り観なくなりましたね?私が子供の頃は、近所でも偶に迎え火している光景を見た記憶があります。 祖先を大切に思う気持ちが段々減って来たのでしょうか?今の日本では、老人ホームに入れられた人が死んでも、財産がなければ引き取りにも来ないと聞きました*罰は当たらないのでしょうか?良心は痛まないのでしょうか?自分も老いればそうなるのに*このご老人が戦友の為に迎え火しようとしていましたら、誰かが呼びに来ました?私は、お孫さんかなあ?と思いましたが、残念なことに介護士の方でした!そうココは老人ホームだったのです。 「おじいちゃん!何してるの?夜中にこんな所で?」「お盆の迎え火*」「ホームの中は火気厳禁ですよ!」 ここで観客席には笑いが起こりましたが、私は全く笑えませんでした。「ああ~迎え火*」「何バカ言ってんの!さあ!部屋に戻るの!」 「迎え火~昔の部下たちが~*」 私は言葉では言い表せない気持ちになりました*
エリートの懺悔
この世に戻って来た兵隊さんの一人が、妹の息子を殺してしまいました。その訳は、妹の死をまるで他人事の様に報告を聞いていたからです。また、その後の事を他人任せにして、更に、自分の親が死んだって言うのに、電話で直接起こそうともせず、嫁に気を遣って起こすまいと、メールで事態を知らせていました。 「お袋が死んだ。朝になったら息子たちに知らせろ。子供たちは、受験があるから葬儀に出なくてよろしい。これで漸く肩の荷が下りた*」その文面を見て兵隊さんは堪忍袋の緒が切れたのでした!兵隊さんはこう言いました。「妹は苦しい日本の戦後を命を張って息子たちを育てました。 妹の献身でこいつは生きたから、嫁がおり、嫁がおったからその子が今おります。それが家族なのでしょう! 母親が死を迎えた床に、自分も直ぐには駆け付けず、家族達にも駆けつけんで良いと言う*それが現在の日本ですか?肩の荷が下りた???人間て酷い生き物です。
殴られた事がない!気の毒にな*
誰からも殴られた事のない大人が増えました。だからでしょうか?言葉では謙虚そうなことを言いますが、いざ自分の損得だったり、また逆に関心がないことに対しては謙虚さを忘れる人間が多い様に感じます。謙虚の意味や想いが解らないのかも知れません?自分の事をしながら、他人の話を聞く態度や、携帯やメールをしながら何かの作業をして、それによって他人に迷惑が及ぼうが、待たせ様がヘッチャラです! 自分がカワイイのか、自分が大事なのか?他人に無関心なのかも知れません。甥を刺した兵隊さんが、倒れている甥に語り掛けました。「なあ君、君の知っているお袋の肌は、シワが刻み込まれて醜いのかも知れない?だがシワは君を生かす為に刻まれたシワなんだ*そして、オレ達も戦ったんだ!軍隊の中で叩かれ苛められ、懸命に耐えて戦地に送られ、輸送船の中で爆撃を受け、敵の顔も見れずに海に投げ出され、うねる海上で板切れにつかまって水も食い物もなく波に翻弄され、戦友がどんどん溺れて行く中で、たった一人で海の上に居た*うねりの中で、たった一人でいる恐怖と絶望が君に判るか?どこを見廻しても大声で叫んでも波のうねりだ。その波が山の様に視界を遮って何も見えない。誰も答えない。 だから、もうオレは叫ぶことも止めた。それでもオレは六日間生きた。その六日間オレが波の中で、何を考えて頑張ったか判るか?日本の幸せ* あの海で願った日本の平和の姿と言うのは、こう言う残酷なモノだったのかい*あんまりじゃあないか*あんまりじゃあないか君*」と・・・
死後の世界 「恥を知れ」
その後、死後の世界に遣って来た甥が言いました。「叔父さんって呼んで良いですか?僕は何処で間違ってしまったのでしょう?最初はお袋を大切にしていたんです。僕は何処で間違ってしまったんでしょう?叔父さん教えて下さい?」叔父さんはこう答えました。「お前は人に殴られたことがあるか?」「いいえ」「一度もか?」「ハイ」「気の毒にな*」「はっ?」そして、甥を立たせて殴りました。「妹の代わりだ!」・・・・「痛かったか?」「ハイ」「そうだろう*オレも相当痛かった*今の日本にゃあ自分の痛いのが怖くて人を殴る奴がいなくなったと見えるな!悪かったなあ*」「いえ、叔父さん、ボクは嬉しかったです。久しぶりに急に目が醒めた気がします。」「目が醒めたんなら一つだけ覚えておけ!恥を知れ*人間としての恥を知れ!」「お袋の所へ直ぐ行ってキッチリ謝って来い!」 学校の先生や親が子供を殴れなくなって、どれだけの年月が経ったのでしょう?殴れば=全て暴力?暴力=悪?そう言う観方しか出来ない。そんな思考に貧しく幼稚な先進国日本が象徴されてはいないでしょうか?暴力は法律的には傷害だと一括りです。本当に情けない* そして、全部お金で解決する?人間はそんなモノではないでしょう? 悪いことをして、注意されても直らない!そして、また遣った!何回もウソを付いた?または、人間道徳的な道から外れたことをしてしまった*そんな時、親や先生たちは、「恥を知れ」と、殴っていました。全部善意ではないのかも知れませんが、それを全て同じと捉えてしまう考え方が幼稚で貧しいと私は思います。今は暴力は絶対イカンと言いながら、躾けと称して若い親が子供を虐待し殺します。この真逆の現象は、法律に頼り切る考え方と、悪はあってはならないモノ!存在してはならないモノとし、虚実を築き上げている今の日本の姿だと私は感じます*暴力を推奨するつもりは毛頭ありませんが、その子供を本当に想って叩くことが悪でしょうか?私は本気本能の愛情表現だと思うのです。 野生動物は、子供がイケナイことをしたら、噛んで痛い思いをさせて教えています。今の人間はどうでしょう?この前、実家のイチジクの木の網に小鳥が引っ掛かっていました。 それを解いてあげようとしましたら、親鳥が必死に子供を守ろうと、叫びながら命懸けで向かって来ました* 人間の親は叱って躾けられなかったり、または虐待をして無残な殺し方をするというのに!鳥の方が人間よりも上なんだなあ!立派だなあ*なんて感じました。本当に命懸けで生きています!そして、文句や不平不満なんて聞いたことがない!笑 笑えません。人間が笑われる!
便利の意味
戯曲の中で、便利の意味は人間が、「さぼる」ことだと言っていました。私は、その解り易い言葉を深く考えました。「こうなったら楽なのになあ?」と、考えることは誰しも思ってしまうことだと思います。しかし、その考え方に何処かで謙虚になり歯止めを利かせないと、それらが皆不満に変わるのではないでしょうか?こんな事くらい自分でしないと罰が当たる?何て・・・誰かに遣らせる!機械に遣らせる!そんな繰り返しは思い遣る人間の心を壊してゆく気がします。続けて兵隊さんはこう述べています。「さぼるとは、出来るだけ体力を使わんと言うことだ!今の日本を見て、人々が自ら汗を掻くこと、体を使うことを嫌う様になったことにオレは仰天した!今の日本人は豊かさと便利を勘違いしている!」と・・・
母の教え
私の母の兄が亡くなり、一周忌がありました。母は寂しそうな顔をしていました。それは兄嫁から、「一周忌は、大袈裟にしたくないから料理は作らない?近所の店で昼食は済ませたい*」と言われたからです。兄が生前好きだった食べ物も供えてあげない*また来て下さった方に精一杯の御もてなしもしない。きっと気持ちがないのでしょう!人間はそこに想いがなければ、手間を省き怠けたくなるものです。 いや、さぼりたくなるのでしょう*手紙も、宅急便の荷物も、丁寧に書いたり、詰めてあげられるのは、そこに届けたいと言う想いがあるからです。ヤッツケ仕事で思い遣りは伝わりません。*面倒くさいなあ?そんなモノは直ぐに伝わります。便利だと言って体が楽をすれば気持ちがないのと同じだと思います。その兄の息子たちは、お通夜に少し顔を出しただけで帰りました。お葬式も長男が最後まで居なかった?入院が長かったせいでしょうか?しかし、私には考えられないことでした。その家には、その家の遣り方があるのでしょう!違うのは分かりますが、しかし、親が死んだのに、まるで他人事の様に観えました。そんなことを、この戯曲を観て思い出していました。叔父さんは、息子を人様の為に役立つ医者にしたくて、とても教育熱心でした。そして、望み通り医者にしました。今は開業して順風満帆なのでしょう?大きな高級外車に乗り、良い家にも住んでいます。性格も温和で優しいです。しかし、情の部分ではどうでしょうか?親が居て、自分がいる。どんな理由があっても、最後はキチンと見送って欲しかったです。
貧倖
兵隊さんが言いました。「貧倖と言う言葉を知っているか?貧しくて困る貧困は避けたいが、貧しくとも倖せな生き方は出来る*そう言う意味だ!元々オレ達の暮らしはそうだったんだ!」 政府の事業仕分けで女性の国会議員が批判されていましたね!「一位じゃなきゃダメなんでしょうか?二位じゃあダメですか?」と言われたことに対してです。学力の問題もそうですが、順位や序列、数字ばかりに目を奪われた愚かな日本の姿を曝していませんか?問題は、国民が何を幸せと感じて、どう幸せになろうとするのか?だと思います。日本のマスコミと国民の程度が低過ぎませんか?エコエコと騒ぐのなら、車を止めて皆馬に乗りなさい!笑 中途半端なんです。世界との比較が大好きな日本とマスコミです。いつも自分たちがどう思われているのか気にし過ぎています。 不安で仕方がないのでしょう?「日本をどう思いますか?」なんて直ぐ聞きたがります。「オレの事を好きか?嫌いか?何て本当に恥ずかしいことです。余程、自分や国に自信がないのでしょうね*そして、直ぐ外国の悪口を言う? 苛める対象を探して攻撃していれば安心するのです。子供のイジメと同じ*恥を知りたいものです。
人間は二度死ぬ
今一人の日本兵が甥を殺したことでテレビや新聞は大騒ぎしている!平和なもんだと思ったよ*平和!良いことだ。たった一人の死にそれだけ騒げる?そう言う世の中をオレ達は望んでいたんだ。だがこれが一人ではなく千人だったら!一万人だったら、そしてそれが何十年前の出来事であったら君らはどの位騒ぐんだろうか?今君は、メモしているが、一人と一万、一万と十万、その差の量が文字だけで実感出来るのか?君はご子孫の顔をよく見に行くかね?」「行きません。行ったって誰もこっちのこと何て関心も持っちゃあいませんからね」「こう言う言葉があります。人は二度死にます。一度目は肉体が死んだ時。二度目は、完全に忘れ去られた時です。」
涙のフィナーレ
兵隊さんが妹の大好きだったバナナを手に持って、「バナナだ!大好きなバナナを持って来てやったぞ~出て来て兄ちゃんに面を見せろ*」このセリフを聞いて、私が何を感じたのか、お分かり頂ける方がおられますでしょうか?熱いモノが込み上げて来ました。最後に兵隊さんたちが、白い暗闇からスローモーションで現れ、ゆっくり凛々しく敬礼をして下さいました。私は、恥ずかしい想いと、申し訳ない気持ちとが交差して拍手をしていました。腐り掛けた黒ずんだバナナでした。
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